FEELING and
IMAGINATION
感覚と想像
僕の住んでいる北海道旭川市は、街の中でも空が広く雲の流れや空の色さえも街を彩っているかのような印象的な街です。周囲が山に囲まれている地形もあり、夏は暑く冬は寒い上に北国らしく雪もしっかり積もります。また、それらの季節を繋ぐように春は急激に芽吹き新緑に溢れ、秋は綺麗に紅葉しながらも初冬に向けて白く染まってゆきます。そのようなこともあり旭川は北海道の中でも四季がよりはっきり感じられるように思います。 四季がはっきりしていると感じるのは、それぞれの短い季節が凝縮されているかのように目紛しく変化していくところから感じられるのかもしれません。僕にとっての旭川は街と自然の距離感が自身の生活に良い刺激を与えてくれています。
旭川から一際大きく見える連山に、右は富良野岳から左は愛別岳まで長く続く山脈があります。丁度、北海道の中心部に位置する日本最大の国立公園、大雪十勝連峰の山並みです。僕は今までに単独で秋に2回、冬には半分ですがこの山並みを歩きました。目を閉じると実際に渡り歩いた山々や、そこで感じる風や匂い、そして静と動を合わせ持ちながらも常に凛としてそこにある自然が心に浮かびます。そのような思いに馳せながら心の中で実際に歩いた道のりを線で繋げて書いたものが、FIELD EARTHのロゴにもなっている大雪十勝連峰のシルエットです。僕にとっては遠くから望んでいる印象ではなく、実際に見て感じた環境や様々な思い、そして、それをも静観し包み込んでいるかのような大自然がロゴから溢れているように感じます。
幼少の頃から雪遊びは生活の中に当然あるものとして特別なことではありませんでした。 スキーはライフスタイルの一つだったので当然のことのように楽しんでいましたが、中学生の時にスノーボードと出会い、その後ハーフパイプ競技からプロになり活動をしていきます。また、同時に山にも興味を抱き山岳滑走へと向かうようになりました。自然に向き合うほどに感じられる思いは様々で価値観や生き方にも影響があり人間社会の中にも照らし合わせるようになります。山を追求し始めたのが23歳頃からだったでしょうか。それから7年後にブランドを立上げ今年で17年が経ちました。幼少の頃からこれまでの様々な経験は、人としても自然を楽しむ者としても。また、滑り手としてもデザイナーとしても個々の思いの感受性として捉えられています。
人は様々な場面で何を感じ何を想像するのでしょうか。
もちろん、僕にとっては物作りにも影響を及ぼしていますし、ブランドへの考え方や自然への思い。また、人間社会への思いなど全てのことに対し大切な指針として心の中で常に寄り添っています。どのような体験も感じ思うことや想像をするための1つのプロセスとしてあるのではないかと思います。また、より良い想像があるからこそ人は前へ進んでいけるのではないかとも思うのです。
旭川医大から空港にまっすぐに伸びる道が僕の好きなランニングルートです。今時期は路肩に草花が芽吹き始め植物は生に満ち溢れ、散った花びらですらとても尊く足元を彩っています。水田に張られた水面には真横から朝日が眩しく照らしていて、そんな日は特に風も優しく流れているように感じられます。 真っ直ぐに伸びた道は大雪十勝連峰を常に一望できます。残雪が残る山並みはコンストラストがはっきりしていて、いつも以上に近くにあるかのようにも見えます。 自然は今も何も変わらず日常に広がっています。
人間社会ではウイルス問題で目紛しく変化し先の見えない不安に苛まれる日々です。日々の生活や未来への不安を含め心の拠り所を見出すこともままならない中で改めて思い感じる感覚は、自身であったり、家族であったり、社会であったりと多岐にわたります。人は幸せになる為に生きていると思います。多くの事を感じ思う時にこそ何を想像するのか。今この時期にこそ感じられる思いから、少しでもより良い未来を想像することが大切なことでは無いでしょうか。
FEELING AND IMAGINATIONは、より良い未来を想像するためにあることだと信じています。
本村 勝伯
ISHIKAWA TAKERO
TOBA SAORI
OKAMOTO KEIJI
UEMURA YOSHINARI
NAKAGAWA SHINYA
AOKI MICHIKO
MAEDA TAKAYA